「マフィンづくりで溶かしバターは使いますか?
溶かしバターと、やわらかくしたバターの使い分けがよく分かりません。
パウンドケーキでは最後に溶かしバターを加える方法があります。
マフィンに応用したら、ふくらみが悪くずっしりと重くなってしまいました。
なぜこのようになったのでしょうか?」
受講生さんから質問がありました。
マフィンづくりで、バターの状態が「個体」と「液体」でどう違うか?
違いが出る理由とバターの特性について解説します。
マフィン やわらかいバターと溶かしバターの比較
和モダンフランス菓子のプロコースでは、
「なぜそいうことが起こったのか?」
道筋を立てて自分で考えられるようになることを目指して
製菓理論のレッスンをしています。
今回はマフィンの事例です。
![生徒さん](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2024/01/ホワイト-ベージュ-ナチュラル-お金-ウェビナー-YouTubeサムネイル-11.jpg)
溶かしバターだとマフィンの膨らみが少なく重くなったんです。
事実を元に経験したことを話したい、と思っているので。
質問内容によっては比較検証してからお伝えしています。
やわらかいバターでつくるマフィンの製法
白っぽくふわっとなるまで混ぜ、卵・牛乳などの水分
薄力粉、ベーキングパウダーを混ぜる製法です。
溶かしバターでつくるマフィンの製法
薄力粉、ベーキングパウダーを混ぜ、温かい溶かしバターを
加えて混ぜる製法です。
マフィン やわらかいバターと溶かしバターの比較
焼成中、早くふくらみ始めたのはやわらかいバターの方。
最終的にボリュームはぼぼ同じになりました。
断面を見やすくするためグラシンケースは入れていません。
食感は、やわらかいバターの方がふわっと口の中でほぐれ、
溶かしバターはややしっかりめに感じました。
とはいえ、食べ比べて分かる人はいないだろう、と感じる微差。
膨らみも同じくらい。ほぼ差がでない結果になりました。
![さとこ先生](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2024/01/ホワイト-ベージュ-ナチュラル-お金-ウェビナー-YouTubeサムネイル-8.jpg)
講座のレシピでは差がほとんど出ません。
マフィン ネットの一般的なレシピで比較
講座のレシピでは差が出なかったため、
同じ材料を使った、ネットの一般的なレシピで比較してみました。
やわらかいバターのマフィンは、形がドーム状に整ってふくらみ、
溶かしバターのマフィンは、少しいびつでボリュームが少ないです。
![さとこ先生](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2024/01/ホワイト-ベージュ-ナチュラル-お金-ウェビナー-YouTubeサムネイル-8.jpg)
ネットの一般的なレシピだと
生徒さんの報告どおりふくらみが少ないですね!
この結果から、どの程度の差が出るかは
レシピのバランスよって異なることが分かります。
バターの特性3つがカギ
溶かしバターだとなぜ膨らみが少ない結果になったか?
を考えるには「バターの特性」を理解していることが必要です。
可塑性、ショートニング性、クリーミング性
順に説明していきます。
バターの可塑性(かそせい)とは?
自由に形を変えられる性質のことです。
バターをグッとと指で押すとへこみますよね。
この性質を利用したお菓子の代表といえば「折りこみパイ」
バターをめん棒でのばす作業を繰りかえして
何百にもおよぶ層をつくります。
バターサンドクッキーの「バタークリーム」を
絞り出せるもこの性質によるものです。
メーカーや種類によって若干の差はありますが、
パイ生地づくりでバターを薄くのばしやすい13℃前後です。
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手早くしましょう!といわれるのは、
バターが溶けると可塑性が失われてしまうからなんですね。
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作業している間を、常にこの温度帯を保ちましょう!
油脂で変わる!可塑性の温度
お菓子づくりはバター以外にもさまざまな固形油脂を使います。
ラード、ショートニング カカオバター
マーガリン ココナッツオイル…など。
ラード
豚の脂肪です。100%豚脂の純製ラードの他、
他の油脂と合わせたものは「調製ラード」があります。
10~25℃で可塑性を保ちます。
ちんすこう、サーターアンダギーなどの沖縄のお菓子。
スフォリアテッラなどの、イタリアのお菓子
中華菓子にも使われます。
マーガリン
10〜30℃と可塑性の幅が広いため、
初心者さんでも扱いやすい油脂です。
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油脂によって可塑性の温度帯は変わります。
バターのショートニング性とは?
でんぷんの粒子が直接、結合するのを防ぐことで、
サクサクとした食感になる性質のことです。
クッキーやタルト生地がサクサク!
もろく口の中で砕ける食感をつくりだしているのが、
この性質によるもの。
いずれも、バターが生地の中にフィルム状になって
散らばるかたさにすることが、サクサク感を出す条件です。
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だから、作業中に生地がやわらなくなると
サクサク感がなくなるのですね!
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そのために、生地ごとに適したかたさに
バターを調整する必要があるんです。
バターのクリーミング性とは?
バターと砂糖混ぜて「白っぽくなるまで混ぜる」
とレシピでよく見かけませんか?
これはバターに空気を取り込むために行います。
マフィンの生地に取り込んだ空気が、
オーブンの中で熱で膨張し、ふくらむことでふわっと軽い食感になります。
冬場は冷蔵庫から数時間出しておいても、バターが冷たいまま。
ということがよくあり、これでは空気を含みません。
逆に夏場は、すぐにやわらかくなって油が浮いてくることも。
温度が上がりすぎると混ぜても白っぽくなりません。
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だから、バターを室温に戻すとあれば、
20℃くらいに調整するんですね。
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お菓子づくりの基本なので覚えておきましょう。
マフィンづくりバターを溶かしたら?
バターの3つの性質をふまえて、溶かしバターのマフィンが
なぜ膨らみが悪かったのか?理由を考えてみましょう。
バターを溶かすと、
可塑性、ショートニング性、クリーミング性
3つ全ての特性が失われてしまいます。
つまり、バターを溶かすとバターに空気を抱き込ませる
クリーミング性がなくなるため、
生地がふくらまず、ずっしり重くなったということなんです。
![生徒さん](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2024/01/ホワイト-ベージュ-ナチュラル-お金-ウェビナー-YouTubeサムネイル-11.jpg)
とはいえ、マドレーヌやフィナンシェは
溶かしバターですよね?
実際、マフィンを溶かしバターでつくると、
バターの風味やしっとりとした食感を感じる生地になりました。
これはこれでおいしい!と感じましたよ。
溶かしてもベーキングパウダーの力で膨らみますので
ずっしりし過ぎることもないと思います。
相手にどう感じて食べてもらいか?
「AとB、どちらがいいですか?」
との質問をいただくことがあります。
ですが、わたしがお伝えできるのは
こうするとこうなる、という結果だけです。
どっちが良いかではなく「相手にどう感じて食べてもらいたいか?」
「あなたの意思」大事なんです。
今回の質問1つとっても、
バターの素材学を知らない限り、
いくら考えても答えに辿り着くことはできません。
その答えを導き出す判断材料になるのが
「素材学」「製菓理論」です。
和モダンフランス菓子のプロコースでは、
知識だけ詰めこむのではなく、
レシピと理論を照らし合わせて、自分の場合はどうなのか?
私と答え合わせをしながら、使える知識にしていきます。
人生の再スタートに、
自信をもってお菓子を仕事にしたい方へ。
無料zoom個別相談、体験レッスンを受け付けています。
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