夏のゼリー作りに大活躍の凝固剤「アガー」
固まらない原因が分からない。
使い始めたら疑問がいろいろ出てきた、
ゼラチンとの違いがあやふや、という方に向けて、
アガーを使うゼリーの失敗事例、固まらない原因と対処法、
アガーの特性についてパティシエが解説します。
受講生さんの失敗から学ぶアガーの使い方
和モダンフランス菓子プロコースでは、
「凝固剤」の理論とお菓子の実習、両面から知識を深めています。
実際にあった生徒さんの失敗事例を紹介します。
ゼリーが急にモロモロに!固まらない原因と対処法
コーヒーゼリーをよく作っている生徒さん。
ある日、容器に流し入れようとしたら
急にモロモロになったそうです。
何が原因でしょう?
実は私も以前、同様の失敗が。
アガーで固めたフルーツゼリーをグラスに流していたときのこと。
「別のグラスに変えたい」と思いたって。
新しいグラスを流水でサッと流して水気をふき、
いざ流そうとしたらモロモロに、、
なんてことがありました。
2つは原因が同じです。
前者は、冷めたコーヒーを後から加えて温度が下がったから。
後者は、準備にモタついているうちに温度が下がったから。
アガーは30~40℃。
お風呂くらいの温度で固まります。
![](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2023/05/ブログ吹き出し-scaled.jpg)
モロモロなってしまったときは、
もう一度鍋で温めると液体に戻りますよ。
冷めないうちに手早く流しましょう。
コーヒーゼリーが2回とも固まらない!
2回ともなぜか固まらず。アガーの量を追加したら、
少しドロッとはしたけど実習の時のように固まりません。
味は美味しかったです。
というご相談。
ゼラチンと使い方を混同していることが原因でした。
電子レンジで60℃くらいに温めた液体に
アガーを振り入れて混ぜたそうです。
![](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2023/05/ブログ吹き出し-scaled.jpg)
アガーは沸騰寸前まで加熱しないと溶けません!
アガーは、砂糖と混合したのを液体に加えるのが基本の使い方。
アガーだけ振り入れると分散せずダマになりやすいです。
配合だけ見て久しぶりに作った。
作り方はだいたい暗記していると思い込んでいた。
ゼリーに限らず、慣れてきた時に起こりがちなパターン。
レシピをよく確認すると、自分で間違いに気付けるはず。
ゼリーが固すぎる!レシピ通りに作ったのに
ゼリーが少し固いように感じました。
アガーの分量は自分で減らしてもいいですか?
というご相談でした。
他メーカーのアガーを使ったとき、起こります。
アガーは製品によって差があります。
使用量や加熱方法、食感・弾力性・保形性などが違うのです。
使い方はお使いのメーカーの説明に従い、
分量を自分で調整ください。
同じ状態にするなら、指定メーカーを選びましょう。
アガーあるある!馴染みあるor無い?
アガーは、馴染みある人、無い人に分かれることです。
「昔通っていた教室で習ってからずっとアガーです。」
「小さい頃、お母さんがいつも使っていた。」という理由。
小さい頃は、おばあちゃんが寒天ゼリーを作っていて。
アガーはどちらかというと馴染みがありませんでした。
![](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2023/08/コンポート6-500x334.jpg)
アガーの原材料は植物性
海藻類などから抽出される、カラギーナンという水溶性食物繊維や
マメ科の種子に含まれる成分が原料です。
豚や牛が由来の、動物性ゼラチンを避けたい
ライフスタイルの方にも、使っていただける凝固剤です。
アガーの特徴をさらに深堀り
アガーのゼリーはどんな食感?
弾力に違いが出たり、寒天に近い歯切れだったり。
製品によって違いが出ます。
販売に適している理由
一旦かためると、60℃以上にならないと溶けません。
これを利用して、夏のお中元にゼリーは人気です。
一方、ゼラチンは真夏の室温に10~15分置いておくだけで
溶けてしまうことも。
アガーなら、持ち運びが安心で販売向きです。
![](https://atelier-s-liaison.com/wp-content/uploads/2023/08/桃のベリーヌ-500x376.jpg)
みずみずしく見えるゼリーのヒミツ
アガーは離水する性質があります。
一旦かたまったものを、崩したりカットすると
さらに離水しやすくなります。
講座ではこの特性を生かすデザートづくりを通して
アガーの特性を実感いただく内容にしています。
紅茶ゼリーになぜアガーが適しているのか?
アガーは無味無臭、素材の邪魔をしません。
紅茶の繊細な香りを最大限に生かせます。
透明度が高いので色がクリアに出ます。
ゼラチンのデメリットをカバー
ゼラチンのデメリットは、パイナップルなどの
南国フルーツを固められないこと。
生のフルーツは、たんぱく質分解酵素をもっているからです。
例えば、ゼラチンのゼリーに
パイナップルをのせるとゼリーが分解されて溶けてきます。
その点、アガーならパイナップルやキウイなども
固めることができます。
作業をスムーズに進められる
アガーはゼラチンに比べて早く固まります。
カフェなどで提供する場合でも、効率的に仕込めます。
教室のレッスンでは、すぐ作れる簡単サブメニュー
としても使いやすい凝固剤です。
アガー使用時に気を付けること3つ
出来上がったら手早く流す!が基本
30~40℃で固まりはじめるので
温度が下がらないうちに手早くグラスに流します。
失敗原因の多くが、上記に書いた2つの事例です。
〇と一緒に煮ると固まらない
固まる力が弱まることがあります。
加えるタイミングは後からです。
固まるまで過度にゆすらない
まとめ
・温度が下がった。
冷めた液体を加えた/加熱後の作業にもたついた
再加熱すると固まる。
・沸騰寸前まで煮立ててなかった。
・砂糖と混合せずそのまま液体に入れた。
・記憶に頼ってレシピをよく確認してない。
・流し入れてあと過度にゆらしたり混ぜた。
・酸を一緒に長時間煮立てた。
・ぷるんつるんとしたのど越しのよい食感。
・透明度が高い。
・固めたら60℃まで溶けない。
・無味無臭。
・離水しやすい。
・早く固まり作業性がよい。
・タンパク質分解酵素をもつフルーツが固まる。
・メーカー、製品により違うので説明書に従う。
作るたびに仕上がりが違う、
もっとこうしたい!に対して改善方法が分からない。
のは、製菓理論があやふやなことが原因です。
理論を土台に、思い描く自分らしいお菓子を作り方は
マンツーマンプロコースで叶えていきましょう。
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154回目 ハピーツスイーツライブでお伝えしました。