カスタードクリームを作ったけど粉っぽい味がする
という経験はありませんか?
パフェのレッスンをされている先生から相談がありました。
「パフェは完成したものの、カスタードクリームが最後まで納得いかなくて。
お口に入れた後すぐは美味しいけれど、最後にちょっと粉感があります。
モニターさんも同意見でした。」
そこで、カスタードクリームづくりでよくある悩み
「粉っぽくなる」「ダマになりザラつく」原因や対処法を
製菓理論をお教えしているプロが解説します。
カスタードクリームとは?
フランス語で「クレーム・パティシエール」と呼びます。
お菓子屋さんのクリームという意味であるように
基本のクリームになります。
主な材料は、牛乳、卵黄、グラニュー糖、
薄力粉、コーンスターチなどです。
これらを混ぜ合わせて加熱すると、
なめらかでツヤのあるカスタードクリームが完成します。
カスタードクリームが粉っぽくなる原因
粉っぽいの原因は
「薄力粉にしっかり火が入ってない」から。
つまり「加熱不足」です。
粉っぽくなる原因を理論的に考える
おさえたいポイントは、
「薄力粉などの粉類が加熱によってのり状になる温度」です。
粉類に含まれるでんぷんが粘りを出すことを
糊化(アルファ―化)と呼びます。
以下、糊化と書きますね。
糊化することで、カスタードクリーム特有の
とろりとした滑らかさが生まれます。
そのため、とろみがついたからといってすぐ加熱をやめると
粉が糊化しておらず粉っぽいクリームになってしまうわけです。
カスタードクリームはどこまで加熱する?
「糊化したかどうか判断に自信がありません。」
「温度計ではかるべき?」
というご相談をいただくことがあります。
粉が糊化したかどうかは、
カスタードクリームの状態をみて判断できます。
加熱中、鍋底からモロモロとかたまりだし
そのまま混ぜ続けると粘りが強くなり、
手に抵抗を感じるようになります。
ここで火を止めてしまうと、粉っぽくなる原因になるのでの要注意!
さらに加熱を続けます。
すると、混ぜる抵抗が少なくなりクリームがゆるくなります。
コシがぬける、または、ブレークダウン現象
とよばれる状態です。
ゴムベラに持ちかえて、さらに過熱し続けると
サラサラと流れ落ちるようになり、ツヤが出ます。
ここまで加熱すれば、粉に十分火が入るので
おいしいカスタードクリームが完成します。
カスタードクリームにダマができてザラつく
ダマがたくさんできてしまい食べるとザラついた
ことはありませんか?
なぜダマはできるのか製菓理論から考えてみましょう。
砂糖を減らすと失敗しやすい?
まず確認したいのは、甘さ控えめにしたくて
砂糖を減らしていませんか?
砂糖を減らすと、卵黄との「結合」が弱くなります。
そのため、卵黄に先に火が入りやすくなり
ダマができる原因になります。
「温度」の違いを知る
ダマができる原因の1つに温度の違いがあります。
押さえておきたいのは、
「卵に火が入る温度」と「粉類がのり状になる温度」です。
粉類の糊化温度は80℃以上
牛乳、卵黄、グラニュー糖、粉類を混ぜた液体を加熱すると、
卵黄は60℃で先に火が入り、「卵焼き」のように固まって
ダマができてしまう原因になります。
ダマができるときの対処法
固まる温度が異なることをふまえた上で
「上手くコントロールする」ことが大事になってきます。
では、どのように対処すればよいのでしょうか。
初心者と経験者では、対処法を変えることで成功しやすくなります。
初心者向けの対処法
ダマになりやすいタイミングをご存じですか?
それは鍋底からモロモロと固まり始めたときです。
このとき、一旦火をとめましょう。
すぐに泡立て器で力強くグルグル混ぜて、滑らかにつなげます。
この時点でダマがないようにしておくのがポイントです。
その後、再び火にかけて、コシが抜けるまで炊きあげます。
この方法は、お菓子づくりにまだ慣れていない方や
一般の方向けのお菓子レッスンなどに向きます。
経験者向けの対処法
カスタードクリームを極めて
もっとなめらかで濃厚にしたいときは
こちらの方法がおすすめです。
牛乳の温度を90℃以上にして
強めの火で一気に炊き上げます!
シャバシャバの牛乳に
瞬時にとろみをつけて素材同士を結合させることで
ダマができる隙を与えません。
そのためには、牛乳を90℃以上に熱くすることが大切です。
卵黄生地に牛乳を全量加えず
一部を鍋に残すことで温度が下がらないようにします。
さらに銅鍋を使えば熱が早く均一にまわるので
クリームが良い状態に仕上がります。
この方法で作ったら、ほっぺた落ちそうなほど
感動する味わいになります。
ぜひ試してみてください!
カスタードづくりQ&A
Youtubeライブのコメントからの質問を掲載します。
Q. 炊くときの火加減について
ずっと同じですか?
いいえ、火加減はクリームの状態を見て調節します。
基本は焦がさない程度の強めの火です。
ただし、鍋の材質、1回に炊く量、混ぜ方によっても
変わるので、焦げない強火を見つけて調整ください。
Q. 粉の糊化温度について
これは卵の固まる温度と同じと思うのですが
小麦粉にちゃんと火が入るのはもっと高い温度でしょうか?
低い温度から糊化が始まっても、
小麦粉のでんぷんを糊化させるには
80℃以上の高い温度が必要です。
確かにネット上には、さまざまな情報があって
正しいものを見抜くのはむつかしいですよね。
同じ小麦でも品種や産地によっても違いがありますし、
測定条件や方法によってもデータが変わります。
受講生の皆さんにはお伝えしていますが、
製菓理論を知れば完璧、というわけではありません。
同時に大事なのは「感覚」です。
「この温度だと上手くいく」「作りやすい」
といった肌感覚はとても大切です。
自分で得たデータは、何より信頼できます。
その上で製菓理論と照らし合わせて
「この温度範囲だから間違いない」
と確認できると自信をもてます。
まとめ
カスタードクリームの粉っぽさの原因と対策
原因:加熱不足で薄力粉が十分に糊化していない。
対策:しっかりと加熱して糊化温度(80℃以上)まで達するよう加熱する。
カスタードクリームのダマの原因と対策
原因:卵黄に先に火が入っていまう。
砂糖を減らすことで結合が弱くなる。
初心者向け対策:鍋底が固まり始めたら一旦火を止め、力強く混ぜてダマをなくす。
経験者向け対策:牛乳を90℃以上に熱して、一気に強火で火を通す。
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