誰かのレシピを真似していい?お菓子づくりを仕事にQ&A

定期LIVEレッスン

カフェをオープン予定の受講生さんからのご相談です。

お菓子って、誰かのレシピを真似して作っていいものですか?
作っていたらだんだんと、ここをこうしたらいいとか、
自分でわかるようになっていくものですか。 

いろんなYouTubeを見て真似して作っています。
この前は美味しかったけれども、今日のはちょっと違うなみたいな感じで。学ぼうと思って、製菓学校に通ってみたけど
実際のところ、基礎がよくわかってないと感じています。

レシピがあれば、何となくは作れるようになったし、
普通には美味しいんだけれど、
こういうときはこうした方がいいとか、何かを変えたときにどうしたらいいとか。
そういうのが今ひとつ基礎がわかってないように思います。

この内容についてお答えします。

カフェ開業 誰かのレシピを真似していい?

質問の内容を補足してまとめると、
オープン予定のカフェで出すケーキを考えるにあたって

YouTubeのいろんなレシピを見てどんどん作っている。
でも、そうやって誰かのレシピを真似たケーキを出して
お店を運営してもいいものか?という悩みですね。

「おいしく作りたい」という想いは何よりある。

でも、自分でつくるお菓子に納得できてない。
だからあっちこっちと、いろんなレシピで作っている状態、
ということでした。

あなたはそんなことありませんか?

真似して作ることがしっくりこない

本やネットにレシピはあふれて、選び放題です。
AIの進化でChatGPTに聞けば、
いい感じのレシピを、今後は教えてくれる未来がくるかもしれません。

レシピは、無価値化していく時代になると言われています。

習ってきたり、YouTubeのレシピを、
その通りに作れば、それなりに美味しく再現できるはず。

でも、本当にそれでいいの?
なんだかしっくりこない、のですよね?

真似してカフェで出すお菓子を作ることは構わないと思います。

だって発信側は、誰かのお役に立ちたくて、
作ってもらいたくて、公開してるからです。

誰にも教えたくない秘密にしたかったら、そもそもネット公開しません。

私もTV番組で紹介したお菓子を、
「おいしかった」「作りました」というお声をもらうと嬉しいですよ。

開発が大変でも、喜んでもらたら
本当によかったなって、思うんです。
お店で出してくれたら、真似してくれてありがとう~!って嬉しいです。

だから真似して作ること自体に、良いも悪いもありません。
ダメなのではないか?という不安の感情をつくりだしているのは
あなた自身の思考…つまり価値観です。

真似する=良くないこと、という価値観をもっていませんか?
ビジネスにおいて、成功事例を真似るのは賢明な選択です。

カギはレシピの理解の深さ

真似を繰り返す中で、「自分でどうすればいいか」が
分かるようになるかどうかは
「レシピをどれだけ深く理解しているか」によると思います。

レシピの理解にはいくつかの段階があり、
どの段階でそのレシピを理解して作っているかが、
ポイントになってくるのではないかと思います。

真似していたら分かるようになる?

浅い理解のままで、自然と「こうすればいい」という感覚を
身につけにくいです。
アレンジできるようになるにも、時間がかかります。

昔、私がまさにそうでした。
お菓子作り始めて、とにかく作るのが好きで楽しい。
本のレシピを試したら、そこそこ美味しくできて嬉しい!

興味を持った講習に、あちこち行きました。

だから分かるのですが、
例えばスポンジ生地ひとつとっても、先生によって
配合や泡立ての具合や見極めも、みんな違うんです。

配合や素材とのバランスで変わるので
今ならそれが当たり前だと分かるのですが。

当時は、これも美味しいし、あれも美味しいと感じて
結局、何がいいんだろう?って。
自分が作るときどうしたらいいのか、迷っていました。

理解を深めるために必要な視点とは?

 

一流のパティシエの、デモンストレーションを見て
すごくためになった!美味しかった!と感じる。

そういう単発講習に、たくさん行ったとしても、
一つ一つのお菓子に対する理解がどこまででていたのか…
今振り返ると、疑問に思うことがあります。

理解度を深めるには、ただ「美味しい」で終わらせるのではなく
以下のような視点で考えることが大切だと思います。

「なぜこの材料を選んでいるか?」
その材料が、どういう役割を果たしているのかを調べる。「なぜその組み立て?なぜこの順番?」
作る工程の一つひとつが、仕上がりにどう作用しているのか。

「なぜこの厚み?なぜこの生地を選択したのか?」
食感や食べたときのバランスをどう計算しているのか。

「美味しいと感じたケーキの要素は何か?」
甘さ、酸味、苦味、食感の調和がどこから生まれているのかを探る。

「作り手がケーキに込めた思想や背景は?」
そのケーキを通じて表現したかったテーマやストーリーは何なのか。

こういった問いを持ちながら、
ケーキを「分解して」理解していくと、そこに新しい気づきが生まれます。

そう考えると、ネットのレシピでそこまで理解できるでしょうか?

作り方の工程は詳しく書かれていたり
動画だと状態がよく分かります。

でも、作り手がそのレシピをどういう想いで開発したのか、
なぜその素材を組み合わせたのか
そういったことを直接質問できませんよね。

今持っている知識の範囲内で、想像しながら理解するしかありません。

たとえ美味しく作れても、浅い理解にとどまっていると
「これでいいかな?」と自信がもてません。
そして、自分1人で新しいものを生み出す状況になったとき
どうしていいか分からない、となってしまうんです。

何を質問していいか思いつきません

「何か質問ありませんか?」とお聞きしても
「何を質問したらいいか思いつきません。」
と返されることがあります。

やったことのないことや初めてのことって、
まずは言われたことをそのまま受け止めるのが精一杯。

そこからさらに質問を考える余裕まで
なかなか生まれません。

無意識に気づく

「自分で気付けてないこと」は、
質問にも悩み事としても表に出てきません。

悩みとして捉えてなかったら、
疑問にも思ってなかったら、
当然、何も浮かんでこないので、改善することもできないんです。

でも、マンツーマンレッスンで実習を拝見すると、
「今、こうしたのはどうして?」といった感じで
気になったことをその場で確認できます。

無意識でされていることを、1つ1つを
丁寧に見直していくと、理解がどんどん深まっていきます。

美味しい理由に気づく瞬間

自分が作ったケーキを、お子さんが喜んで食べてくれたら、
やった~!っと思うし、
旦那さんからまた作ってね、と褒められたら
もっと作りたくなっちゃう。

誰かにおいしい、と言ってもらったら嬉しいですよね。

でもプロの場合、おいしく作れて当たり前、なんです。

そんな中、レッスンしていて嬉しいなと思う瞬間があります。
例えばレッスンで、「何で美味しいと思う?」
とお聞きしたら、「何でだろう…」と分からないとき

そんなとき、「じゃあね、1個1個理由を言っていくね」
とお伝えすると、
「へえ~!そんなことまで考えて作るんですね!」
と驚かれるんです。

その瞬間、生徒さんの表情がパッと明るく変わるんですよ。
画面越しのオンラインレッスンでも、
その変化がはっきり分かります。

「美味しさ」に込められた工夫や意図を
深く理解できたときの、あの「気づき」の瞬間を
共有できるのが嬉しいです。

アイティアは空からふってこない

理解したら、アンテナが立ちます。
すると必要な情報を自然とキャッチでるよになります。

いろんなものを食べて、見て、経験して、
手持ちのカードが、いっぱい集まっていくイメージ。

アイディアというのは、突然空から降ってくるものではありません。
必ずその種となる経験があります。

いろいろなものを食べて、見て、作ってみることで、
その経験が「手持ちのカード」となり、少しずつ集まっていきます。

ある日、そのカード同士が結びつき、
点が線になってひらめきやアイディアとなる瞬間があります。

その感覚を得るためには、まずは「レシピを深く理解する」
一つ一つの経験を積み重ねていくことが大切だと思います。

メニューを考える前にするべき大事なこと

今回のケースでは、お店を開きたいとのことですが、
メニューを作る前に、もっと大事なことがあります。

何だと思いますか?

それは、「どんな人に、何を提供するお店にするのか」ということです。
つまり、お店のコンセプトをはっきりさせること。

特に重要なのは「誰に」です!

マーケティング用語では、これを「ペルソナ」と呼びます。
ペルソナとは、ターゲットとなるお客さま像を細かく設計することです。

例えば、お菓子教室を開く場合、
生徒さんになりそうな人の特徴を100個書き出してみるんです。

びっくりでしょ?

でも、これがとても大切なんです。

私も、教室の先生を目指している方には必ずこの方法をお伝えしています。
ペルソナが具体的になればなるほど、
お店や教室が誰にとっても魅力的に感じられるものになりますよ!

コンセプト設計のやり方

カフェを開きたい場合、まずはお店に来てくれるお客さんが
どんな人なのか、リアルに想像してみましょう。

「どんなお客さんがテーブルに座っているかな?」
「どんな人が来てくれたら嬉しいかな?」と考えながら、
その人の特徴を思い描いてみてください。

たとえば、
「年配の女性の憩いの場になるようなカフェをしたい」
と考えるなら、

その女性は何歳くらいでしょうか?
どんな雑誌を読んでいますか?
好きな食べ物は?
日常生活はどんな感じ?
好きなライフスタイルはどんなもの?
お茶しに来る時間帯は?
こんなふうに、細かく想像してみるんです。

その上で、
「このケーキを出したらすごく喜んでくれそう!」
「きっと嬉しいって感じてもらえる!」
そう思えるメニューを作ることが、
「誰に」の部分を具体化することになります。

ただし、自分の勝手な想像だけで考えると、
実際のお客さん像とズレてしまうこともあります。

そのすり合わせ方や具体的な方法については、
講座で個別にアドバイスもしていますので、
ぜひ一緒に進めていきましょう!

リサーチしていますか?

もう1つ、メニューを考える際に欠かせないのがリサーチです。

例えば、地域性も大きな要素になります。
その地域に住む人たちの好みやライフスタイル、
周辺環境をしっかり調べることが大切です。

また、近くに似たようなお店があるかどうかも重要なポイントです。
同じような業態の競合店をリサーチして、
自分のお店がその場所で勝負できるのか、
勝算があるのかを検討します。

こうしたリサーチをしっかり行った上で、
「このお菓子なら喜ばれる!」というメニューを考えます。

データや情報をしっかり集めることで、
より具体的で魅力的なメニューを作ることができます。

レシピはゼロから考えない

レシピは、ゼロから全て自分で考えるものではありません。
必ず元となるレシピがあり、それをベースに進めていくものです。

スポンジ生地だって基本配合があります。

基本配合をもとに、自分のお客さんが喜んでくれるものに、
カスタマイズしていくんです。

例えば、米粉を使ったお菓子をコンセプトにしたカフェなら、
小麦粉のスポンジ生地のレシピを、
米粉に置き換える必要が出てきます。

こうしたアレンジを行うことを「カスタマイズ」と言います。

では、どうしたらそのカスタマイズができるのか?
その土台となるのが製菓理論です。

製菓理論がしっかりしていないと、
「こういうときどうすればいいかわからない」
という状況になりがちです。

結果として、自分のお店のコンセプトに合わせて
レシピを作り変えることが難しくなってしまいます。

だからこそ、和モダンフランス菓子のプロコースでは、
深い理解を目指すための、何度も見返せる動画レッスンがあります。

なぜその製法なのか、
効率的で、失敗しにくい作り方を考えた上で、
基本的なレシピを通して理解を深めていきます。

気になっているのはできるから

こうしてお悩みを相談いただけるということは、
そのことが気になっている、という証拠ですよね。

そして、気になっているというのは、
実は「できるから」なんです。
つまり、才能があるということ。

そもそも、やりたいとも思わないことは、
気になることさえありませんよね。

だから、気になるなら、できる可能性があるってことです!

得意とは続けられること

得意なこと、不得意なことは人それぞれ違います。
すべてのことを完璧にこなさなきゃいけない、なんてことはありません。

たとえば、レシピを考えるのは得意だけど、作業が遅いとか、
もくもくと作るのは好きだけど、人に教えるのは苦手とか。

そういった得意や苦手はみんなバラバラだからこそ、
自分の得意なことを見つけて、そこを伸ばしていくことが大事なんです。

得意なことが花開けば、
その人にしかできないことが実現できるようになります。

続けられること、楽しいと感じること=得意なこと。
それに気づけたら、自分の夢に向かって一歩ずつ走り出しましょう!

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108回目のライブで取り上げました。

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プロフィール
お菓子づくりのプロを育てる専門家
とくもと さとこ

お菓子教室Atelier S Liaison(2006年開業)主宰
のべ3800人以上を指導
地元素材を使った「和モダンフランス菓子」
お菓子のプロを目指す方に
製菓理論とお菓子の基礎を学べる講座を提供
動画教材制作クリエイター

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