いつもと同じように作っているはずなのに
「最後の生地が重たい…」
「泡がつぶれてしまい、必要な数が取れない…」
一度にたくさんのジェノワーズ(スポンジ生地)を仕込むと、こんな悩みはありませんか?
クリスマスやイベントシーズンが近づくと、
お菓子屋さんなどでは、ジェノワーズを大量に仕込む機会が増えます。
パートで入ったら、1台分の仕込みとは勝手が違って
戸惑っている、という方へ、
大量仕込仕込みのジェノワーズで失敗しないポイントをお伝えします。
ジェノワーズの気泡がつぶれて必要数が取れない状況をどう防ぐ?
菓子製造のパートを始めた生徒さんからのご相談がありました。
Q 質問
職場でクリスマスに向けて、ジェノワーズを作っています。
一度に15cmのジェノワーズを32台仕込むのですが、
1台分作るのとは全く勝手が違い、アドバイスいただけたらと思います。
一番難しいところは粉合わせとバター+牛乳を合わせるところで、
型に入れるとき、最後の方の生地は泡が死んでしまいがちです。
底の方に残った生地がバターのせいか、泡が死んでしまったせいか
重たいことがあり、実際、必要数が取れませんでした。
いろんな職場の事情で失敗もロスも多いです。
お菓子のプロコースの動画を改めて拝見しました。
粉を合わせるのは1台分だと2回に分けて丁寧に、
割としっかり合わせていますが、大量に仕込むときも
しっかりめに合わせた方がいいのでしょうか?
混ぜ方のコツなどあれば教えていただきたいです。
現状は粉を1か所に落としながら腕を使って混ぜる感じです。
底をカードで掻きながら、早く手を動かすように言われています。
バター&牛乳は温めたものは今の職場ではサーッと流し込んでいますが、
生地の一部をバターと合わせたものを、ボウルに戻す方法が
良いのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
仕事はとても楽しく、やりがいがあります。
よく組むパートナーと一緒に切磋琢磨しています。
クリスマスに向けた大量仕込み、お疲れさまです!
家庭で1台で作っていたのが、いきなり32台…戸惑うのは当然ですよね。
大量仕込みでの、粉合わせのコツ、バター乳化のポイントをお伝えします。
ジェノワーズの大量仕込みで起こっている問題
まず起こっている状況を整理すると以下の3つです。
・規定の個数がとれない
・失敗とロスが多い
ジェノワーズの粉合わせのポイント
まずは小麦粉を加えて混ぜる粉合わせについて。
仕込む量が多くなっても注意点は同じです。
・粉合わせはしっかり行う
・底からすぐいあげて混ぜる
・手早く行う
この3つ基本は同じです。
現状、1カ所に落としながら底をカードでかきながら
腕を使って手早く動かすように混ぜている、とのことで
これはお菓子屋さんで一般的に行われているやり方です。
業務用の大型ミキサーで泡立てて、カードで底からかきとる。
カードと腕なので、慣れが必要ですが、ボウル底の生地をかきとって、
垂直に近い感じで上へもちあげて切り混ぜている動作です。
ミキサーの強いパワーで泡立っているはずなので、
混ぜ不足にならないように、粉合わせはしっかり行ってみてください。
ジェノワーズにバター+牛乳を混ぜるコツ
規定の個数がとれないのは、
バターが生地にムラなく分散してに混ざってないからです。
そうなると、底に油脂がたまって目の詰まった重たい生地が残ります。
温めたバターと牛乳を、生地の一部と先に混ぜて乳化させてゆるめて
戻し入れて方が、均一に混ざりやすいです。
サーッと流し込む方法は、腕力と技術のある職人ならできても、
そうでない方が混ぜると、上手くいかないこともあるので。
また、バターと牛乳の温度が低すぎると、
流動性が少なく生地にうまく分散しません。
例えば、仕上がり温度を25℃前後にしたいなら、
何℃で加えたらよいのか、テストする必要があります。
慣れない時こそ感覚ではなく、温度をはかった方が安定します。
実行・改善の繰り返しで失敗とロスは減る
生地が一定の品質になっているか、比重測定でチェックできると確実です。
毎日作れる状況があるので
「実行」→「改善」を繰り返すと、失敗はロスは減るはず。
…というようなことをお伝えしたところ以下の回答がありました。
職場では余裕がなく道具の不備で効率が悪い
そこまで求められてはいない感じがします。
機械や道具が壊れていたり道具が十分でなかったりもして、
効率が悪い状態です。
職場の忙しさや環境によって、なかなか理想どおりに
進められないこと、ありますよね。
効率を優先しなきゃいけなかったり、
道具や機械が揃っていない中で「今できることをやるしかない」って
現実もあると思います。
それでも、少しでも「こうしたらうまくいくかも」という工夫を見つけたり、
自分なりのやり方を試してみるのは、
後々振り返ったときに力になることも多いです。
現場のリアルな状況に合わせた学びが得られるのも、
すごく貴重な経験になると思いますよ!
まとめ
大量仕込みでのジェノワーズ作りでは、以下のポイントを意識します。
粉合わせはしっかり・手早く行う。
バターと牛乳は生地の一部と乳化させてから全体に混ぜる。
温度をはかることで仕上がりが安定する。
忙しいシーズンも、工夫と情熱をもって乗り切りましょう!
後に振り返ったとき、役立つ経験になると思います。
この内容を動画でご覧になりたい方はこちら
323回目YouTubeライブで取り上げました。
所要時間:27分31秒