クッキー6種を比較!仕上がり・食感・味を製菓理論で解説 | 基本のアイスボックスクッキー作り方

製菓理論

「クッキーがもろくて、ボロボロ崩れる」
「植物油で作ってもおいしくできるの?」
クッキー作りで、こんな風に感じたことはありませんか?

同じレシピでも、バターの状態や油脂の種類が変わると
仕上がりが変わります!
今回「ディアマンクッキー」(アイスボックスクッキー)
6種類を比較しました。

・クリーム状バター
・冷たいバター
・溶かしバター
・澄ましバター(ギー)
・植物油(太白ごま油)
・ココナッツオイル

種類ごとの作り方、生地の扱いやすさ、見た目、食感がどう違うか、
分かりやすく解説します。

クッキー作り|こんな方におすすめの記事です

【こんな方に向けた記事です】
・上手くいかなかった原因が分からない
・素材を置き換えるとどんな違いがあるか知りたい
・植物油で作るクッキーの特徴を知りたい
・理想の食感にするヒントを探している
・クッキーのオリジナルレシピを作りたい

見た目クイズ!あなたは当てられる?

6種類のクッキーがバラバラに並んでいます。
さて、どの油脂を使ったでしょう?
線でむすんでみて下さいね!

焼く前のクッキー生地から判断

棒状に成形した、焼く前のクッキー生地です。
色の違いに注目してみて。

ヒント 焼き上がりの画像

生地だけだと判断材料が少ない!
と感じた方もいらっしゃると思うので、
焼き上がったクッキーを追加します。

正解はこちら

オンラインサロンの勉強会でこのクイズを出したところ
4つ当てた方がいました。

あなたはいくつ当たりましたか?
1つでも当たったら、違いが予測できるってことなので
素晴らしいです~!

最後に6種を正しく並べますね。

バターと植物油2つのグループ

今回使った油脂は次のの2つのグループに分けられます。

バターの状態の違い

・クリーム状バター
・冷たいバター
・溶かしバター
・澄ましバター(ギー)

澄ましバターは…
自家製ギーで、焼き菓子を販売されている生徒さんがいますので
入れてみました。

油脂の種類の違い

・バター
・植物油(太白ごま油)
・ココナッツオイル
油脂は3種類です。

全部特性が違うので、どうなるか楽しみですね!

アイスボックスクッキーとは?

ここで基本的なことを確認しておきましょう。

アイスボックスクッキーとは?
棒状に成形したクッキー生地を冷凍して、
スライスして焼くクッキーのことです。

実験に型抜きクッキーではなく、アイスボックスを選んだ理由は、
厚みがある分、形や断面の違いを比較しやすいと考えたからです。
販売されている方もサロン会員さんにいらっしゃるので。

ディアマンとは?

「ディアマン」はフランス語でダイヤモンドの意味。
アイスボックスクッキーの一種です。

周囲にまぶしたグラニュー糖が、ダイヤモンドのように
キラキラ見えることから、フランス菓子ではこう呼ばれています。

はじめて知ったときは、さすが、フランス!
名づけのセンスもエスプリが効いてる~
なんて感心したものです。

だから「ディアマン」と名前をつけるならグラニュー糖は必須!

使用した材料について

基本のクッキーは以下の材料で作ります。

・無塩バター
・粉砂糖
・牛乳
・アーモンドパウダー
・薄力粉

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6種類のクッキーの作り方&生地の違い

6種類の生地の作り方をそれぞれ紹介します。

クリーム状バターで作るクッキー

クリーム状にした常温のバター(20℃程)に、粉砂糖、牛乳を加えて混ぜ
ア―モンドパウダー、薄力粉の順に加えて作る方法です。
※この製法を製菓の専門用語でクレメ法と呼びます。

バターを常温にする手間はかかりますが、
生地は滑らか。扱いやすく棒状の成形はスムーズでした。

冷たいバターで作るクッキー

すべての材料を冷蔵庫で冷やしておきます。
フードプロセッサー、手作業どちらでも作れます。

フードプロセッサーで作る方法

フープロに、粉砂糖、アーモンドパウダー、薄力粉を入れて攪拌する。
冷たい角切りバターを入れて、砂状になるまで攪拌する。
牛乳を加えてまとめる。
※この製法を製菓の専門用語でサブラージュ法と呼びます。

手作業で作る方法

ボウルに、粉砂糖、アーモンドパウダー、薄力粉、
冷たい角切りバターを加えて、カードで米粒大に刻む。
両手ですり合わせて粉チーズ状にしたら、牛乳を加えてまとめる。

この作り方だと、バターを室温に戻す時間がなくても、
冷蔵庫から出してすぐに作業できます。

コツは、バターが冷たい状態で作業すること
フードプロセッサーなら、5分もかからず成形できて、
生地も冷たいまま。圧倒的に効率がいいです!

溶かしバターで作る

溶かしたバターをボウルに入れて、牛乳、粉砂糖、
アーモンドパウダー、薄力粉の順に加えてまとめます。

ひとまとめにした直後はやわらかくて、
棒状にころがすと、ぐにゃぐにゃで成形できず…
ラップに包んで30分ほど冷蔵庫で冷やしました。
ほどよい固さになり、スムーズに成形できました。

さとこ先生
さとこ先生

溶かしバターで作るときは

成形前に冷蔵庫で休ませてね。

澄ましバター(ギー)で作る

澄ましバターを作る

澄ましバターとは、バターを溶かして乳清などを取りのぞいた
上澄み液。純粋な脂分の部分です。

普段はオーブンを使いますが、今回は鍋で作ってみました。
バターを入れて、ゆっくりと加熱。
底に沈殿した白い乳たんぱくの部分と、表面の泡を取り除きます。

うっとりするほど、キレイな黄金色ですね!

澄ましバターでクッキーを作る

澄ましバターをボウルに入れて、牛乳、粉砂糖、
アーモンドパウダー、薄力粉の順に加えてまとめます。

作り方は溶かしバターと同じです。
混ぜていると、黄色い粒々が所々に目立ちました。
生地は白っぽく、ポロポロとした状態。
まとまりにくいですが、なんとか成形しました。

植物油(太白ごま油)

植物油をボウルに入れて、牛乳、粉砂糖、アーモンドパウダー
薄力粉の順に加えてまとめます。

バターに比べて生地にのびがなく、ちぎれる感じ。
棒状にころがすと、生地が割れて、成形しずらいです。
油が表面に出てくるので、手がベタベタします。

ココナッツオイル

やわらかくしたココナッツオイル(20℃)に、粉砂糖
牛乳、アーモンドパウダー、薄力粉の順に加えてまとめる。

6つの中で、最もまとまらず、キシキシと砂っぽい状態です。
「もう無理かも…」全くまとまる気配がなくて。
あきらめかけましたが、手でぎゅっぎゅっと握って、
ひたすら繰り返すと、成形できました。

焼く前の生地の断面

左から、クリーム状、冷たい、溶かしバター。

左から、植物油、澄まし、ココナッツ。

どれも崩れやすく、キレイにカットするのは至難の業。
特にココナッツは、砕け散ります。
砕けたのを集めてカップに入れました。
カットには不向きなので、丸めたり、型抜きがよさそう。

焼き上がりと断面・食感の違い

クリーム状、冷たい、溶かしたバターは、形が整って表面がなめらか。
澄まし、植物油、ココナッツは、形がいびつで焼き色も濃い目です。

断面です。

澄まし、植物油、ココナッツは、他と比べて焼き色が濃いですね。
つまり、油脂によって、火の入り方が変わることが分かります。

食感・風味・仕上がりを比較

厚みによって食感の感じ方が変わるので
1.2mm、1.5mm厚さも焼いてみました。
感想は私の個人的な主観になります。

クリーム状バター

サクッと軽やかで、いわゆるクッキーらしい印象。
・噛んだときに程よく歯ごたえがある。
バターの香りがしっかりと感じられる。

冷たいバター

・ひと口で「軽い」と感じる。
・口の中でパラパラッと崩れる、繊細な口どけ。
・バターの香りがふわっと広がり、余韻はしっかり感じられる。

溶かしバター

・噛み始めに少し抵抗感があり、ザクッとした歯ごたえ。
・ややかためで、粒感が口に残るような仕上がり。
バターの香りは弱めで、じわっと後から感じられる。

澄ましバター

・ポロポロと崩れる食感
歯ごたえはしっかりめ。
・バターの香りや風味は弱く、後味に油脂感がある。

植物油(太白ごま油)

・ガリッとしてかため。ザクザクした歯ごたえがは心地いい
・やや油っぽさを感じる。
・香りは控えめで、小麦粉の風味が前面に出る。

ココナッツオイル

・噛んだ瞬間にふわっとココナッツの香りが広がる。
・やや硬めで、サクサクと軽快な食感。
・じゅわっとした油脂感がある。

活かし方を見つける3つの視点

この比較実験の感想をきいたところ
「やっぱりバターの方がいいと思いました。」
との声がありました。

成形のしやすさを考えると、確かにそうだよね~と思うのですが。
ただ、この結果を「良い・悪い」で判断するのではなく
「その特性をどういかすか?」と考えると、
もっと柔軟に楽しめます。

丸めて成形+ナッツを加えるという選択肢

植物油やココナッツオイルを使った生地は、
気軽に作れるのが魅力です。
ただその反面、棒状に成形してカットすると
ポロポロと崩れやすくなります。

これは、成形を変えることで解決します。
「丸める成形」にすれば問題ありません!
さらに、アーモンドやくるみなどの副材料を加えると、
「かたさを緩和」できて、食感もよいアクセントに。

オイル系クッキーは、手軽に作れるのが嬉しいポイント。
お子さんと一緒に作るおやつとしてもぴったりです!

タルト生地のバターが溶けたら?

「タルトの敷き込みは手早く!」と言われますが、
今回の実験で、その理由がわかったのではないでしょうか。

溶かしバターで作ったクッキー生地は、やわらかくて成形しにくく
ザクっと固めの食感でした。
しかも、バターの風味も感じにくくなりました。

つまり、バターが溶けると、敷き込み作業がむつしくなり、
仕上がりの風味や食感にも影響が出る、ということです。

製法を変えてみるという工夫

「もろく崩れないようにしたい」
「もっと食感をしっかりさせたい」
もっとこうなったら…と、別のレシピを探しがちですが、
バターの状態や油脂の種類を変えてみるのも一つの手です。

例えば、冷たいバターからクリーム状のバターに
変えると、もろさは変わってきます。

よくある質問(FAQ)

Q. レシピでは卵ではなく牛乳を使っているのはなぜ?

卵を1個割っても少量しか使わず、余りやすいからです。
食感は少し変わりますが、
牛乳の方が計量しやすく、無駄がでません。

Q. クッキーの食感は、どの油脂を使うとサクサクしますか?

クリーム状、もしくは冷たいバターがサクサク食感に仕上がります。
バターは一度溶けると、
可塑性、ショートニング性、クリーミング性と呼ばれる
バターの特性が失われてしまいます。

画像は澄ましバター。冷蔵庫に入れると固まって、
一見もとに戻ったように見えますが…
結晶構造は変わって、特性は失われています。

ですので、目的に合わせて溶かす、溶かさないの
根拠をもって選択できるといいですね。

動画でご覧になりたい方はこちら

生地の質感や焼き上がりの違いは、動画でご覧いただけます。
動画の中でお伝えしているキーワードを
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ぜひ受け取ってくださいね!

再生時間:33分39秒

まとめ

サクサク!王道、クリーム状バター
口どけほろほろ、冷たいバター
ほどよいザクッと感、溶かしバター
あっさりすっきり、澄ましバタ
かためだけど応用がきく、植物油
ココナッツの香りが主役、ココナッツオイル
同じレシピなので、味はどれもおいしいです!
最終的には、好みだと思います。
今回面白かったのは、生地の質感の違いです。
植物油や、溶かしバター、ココナッツオイルなどで
まとめやすさが、全く違いました。
また、焼いたときの火の入り方も変わり、
焼き時間を変える必要があるのも発見でした。
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プロフィール
お菓子づくりのプロを育てる専門家
とくもと さとこ

お菓子教室Atelier S Liaison(2006年開業)主宰
のべ3800人以上を指導
地元素材を使った「和モダンフランス菓子」
お菓子のプロを目指す方に
製菓理論とお菓子の基礎を学べる講座を提供
動画教材制作クリエイター

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