京都で国産バニラを栽培!?木樽で熟成する「樽熟バニラ」を見学してきました

製菓材料

京都バニラさんが主催する、業者・店舗オーナー向けの
「 試香会&農園見学」に参加してきました。

お菓子づくりに欠かせないスパイスの1つバニラ。

実際に栽培している様子を見ながら、お話を伺ってきました。

京都で育つ国産バニラ

京都バニラさんでは、京都で国産バニラを育てながら、
スマトラ島から仕入れたバニラを追熟した「樽熟バニラ」などを作られています。

「え、こんな場所でどうやってバニラを育てているのだろう?」
たどり着いたのは、ごく普通の白い建物。

ベトナムでバニラを栽培している農園を訪問したことがありますが、
標高の高い山の中でしたので、そのイメージが強くて。

そして見学させてもらって、びっくり。

建物の2階、「バニララボ」と呼ばれる場所で育っていました。

四角い栽培容器の中は、ココナッツを使った培地だそうです。
そこから青々としたバニラの葉が、上へ上へと伸びています。

「こんな小さなプランターで育つんだ」というのも驚きましたが、
バニラは土の中に伸びる根だけでなくて、
「空中根」と呼ばれる根も伸ばすのだとか。

よ~く見ると小さな根のようなものが見えます。
ここから空気を取り込んでいるんですね!

バニラはつる性の植物なので、巻きつくように成長していくそう。
順調に育てば、半年ほどで50cmほど伸びるのだとか。

説明中に突然、細かな霧のような水が一斉に噴き出しました。
「うわぁー」と思わず声をあげそうに。

時間がきたら、自動で散水するようです。
ラボの中は、地面が濡れており湿度が保たれていました。
ITで最適な環境が用意できるなんて、時代の進化はすごい!

バニラは乾燥に弱くて、虫などの影響も受けやすいため、
環境を整えることで外的要因のリスクを最小限に減らせるそうです。

そして順調にいけば、あと1年半ほどで
京都産のバニラができるとのことでした。
京都で育ったバニラ。
その姿を見られる日がくるのが、今から待ち遠しくなります。

バニラビーンズが高価な理由

バニラビーンズがどうやって作られているのかを知ると、
高価な理由にも納得できました。

午前中の数時間を逃さずに受粉する

バニラを植えてから、3~4年育ててようやく花が咲きます。

その花の開花は午前中の、たった数時間。
その間に、人の手で受粉させる必要があるのだそう。

タイミングを逃せば、その花からはバニラを作ることができない…。

とはいえ毎日、同じ数の花が咲くわけではなく、
1日に1本のこともあれば、一気に何百本と咲くこともあるわけで。

開花の季節(5~6月)には人が張り付いて、
一本一本、手作業で人工受粉させるのだとか。

機械にお任せというわけにいかない、とても手間がかかる作業です。

手でマッサージして真っすぐにする

バニラビーンズを購入したとき、
少しカーブしているものを見たことはありませんか?

でも、こちらで見せていただいたバニラビーンズは、真っすぐ。
実はこれ、自然にまっすぐになるわけではないんです。

熟成の途中で一本一本、手でマッサージをしながら伸ばして、形を整えているそう。

「だから、こんなに真っすぐなんだ!」
曲がっているかどうかなんて、今までそこまで意識したことがありませんでしたが、
形にもこうした見えないひと手間がかけられている
ことに驚きました。

バニラの香りが生まれるまで

収穫したばかりのバニラは、私たちが知っている黒いバニラビーンズとは違う姿です。
エンドウ豆のような緑色をしています。
実際、ベトナムで香りを嗅いだ時も、この時点では甘い香りはありませんでした。

この緑色のサヤが収穫できる状態になるまで、
さらに7~9ヶ月ほどかかるそう。
少しずつ熟して先端が黄色くなってきたら、収穫のタイミングです。

収穫したバニラは、キュアリングという工程へ。
加熱・発酵・乾燥を経ることで、香りの成分が引き出され、
あの甘~い香りが生まれます。

バニラの香りって奥が深い

今回、見せていただいたのは、
インドネシア・スマトラ島で育てられたバニラ。

育てているのは、リンダさんという女性の農家さんだそうです。

リンダさんはもともとカカオ農家で、
カカオ農園の中でバニラも育てられており、
そのためか、バニラもほんのりカカオを思わせるような香りがするのだとか。

育つ環境って、香りにも影響するんですね。

このスマトラ島のバニラを京都の木樽でさらに熟成させているのが、
京都バニラさんの「樽熟バニラ」です。

同じバニラを4種類の樽で嗅ぎ比べ

バニラは周囲の香りを吸収しやすい性質があります。
この性質を利用して、京都バニラさんでは、
4種類の木樽でバニラを熟成させていました。

ヒノキ、スギ、ヒバ、ウイスキー

この木樽は、京都の廃材を使っているそうです。

同じバニラなのに、木樽によって香りが違う!

2階ラボの入口には、香りを試せるコーナーがありました。
さらに1階では、実際に手に取って嗅ぎ比べることができました。

ヒノキは、清涼感があり、ほのかに柑橘感とスパイシーさがある、
森林を思わせるような落ち着く香り。
いろいろなお菓子に合わせやすそうな印象です。

スギは、やさしく穏やかで、落ち着いた香り。
木の香りをストレートに感じます。
プリンやクレームパティシエールなど、卵系の生地と相性が良いそうです。

ヒバは、香りの中に少しの酸味があって、爽やかさを感じます。
少し重さのある深い森林のようでもあり、上品で奥行きのある香り。
焼き菓子などに使っても、香りと余韻がしっかり残るそうです。

ウイスキーは、奥行きのある重厚な香りです。
とても高級感を感じる個性的な香りでした。
こちらは特別な商品で、最もグレードの高いバニラが使われています。

私が選んだのは「ヒバ」

実際に購入できるのは、ヒノキ、スギ、ヒバ。
その中から私が選んだのは「ヒバ」でした。

なぜ「ヒバ」だったのかを言葉で説明するのは難しいのですが、
実際に嗅いだときに「これがいいな」と感じたから。

実際、焼き菓子などに使っても、香りと余韻がしっかり残るそうなので、
いろんな使い方ができそうです。

バニラの香りがもたらすリラックス効果

お話の中でもうひとつ興味をひかれたのが、
バニラの香りには約200種類もの芳香成分が含まれているということ。

お菓子づくりという観点だけから見ると、
香り付けとか、卵臭さをマスキングするとか、
そういう部分にフォーカスしがちでしたが。

バニラの香りには、自律神経を整えたり、
安らぎを与えたりする効果も期待できる
そうです。

バニラを知ると使い方も広がる

到着して最初に出していただいたのが、バニラを使ったパイナップルのドリンク。

バニラというと、プリンやカスタードクリームなど、
お菓子というイメージが強いですが、ドリンクに使うのは
ステキなアイディアですね。

また、バニラアイスのバニラ入りとバニラなしを食べ比べることもでき、
熟成バニラの効果を実感できました。

今回、実際にバニラが栽培されているところを見たり、
直接お話を伺うことで、バニラの知識をアップデートできました。

さっそく試作してみたいものも浮かんでいますし、
今回学んだことを、サロンメンバーの皆さんにも共有したいと思います。

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プロフィール
お菓子づくりのプロを育てる専門家
とくもと さとこ

お菓子教室Atelier S Liaison(2006年開業)主宰
のべ3800人以上を指導
地元素材を使った「和モダンフランス菓子」
お菓子のプロを目指す方に
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