カスタードクリームの作り方|粉の違いでどう変わる?薄力粉・コーンスターチ・米粉を比較しました

製菓理論
生徒さん
生徒さん

カスタードって、薄力粉だけのものや、
コーンスターチだけのレシピがありますよね?
粉の違いで、仕上がりはどう変わるんでしょうか?

さとこ先生
さとこ先生

粉が違うと、食感も絞りやすさも変わります。
今回は、その違いをご紹介しますね。

薄力粉・コーンスターチ・米粉で炊き比べて、
どんな違いがあるかを検証しました。
自分のイメージに合わせて、
カスタードクリームを調整したい方のヒントになればと思います。

この記事はこんな方におすすめです

  • カスタードクリームの粉の違いを知りたい
  • 薄力粉とコーンスターチ、どちらを使えばいいか迷っている
  • 米粉でカスタードを作ってみたい
  • 絞ったときの仕上がりの差が気になる
  • お菓子に合わせてカスタードクリームを使い分けたい

カスタードクリームとは?

カスタードクリームは、フランス語で
「crème pâtissière(クレーム・パティシエール)」
と呼ばれる基本のクリームです。

直訳すると「お菓子屋さんのクリーム」
という意味になります。

お菓子作りをするなら、
おいしく作れることはもちろん、
ワンランク上の完成度を目指すなら
お菓子に合わせて仕上がりを変えられると、
ぐんと表現の幅が広がります。

カスタードクリームの基本材料

カスタードクリームの基本材料
卵黄・牛乳・砂糖・粉類・バニラビーンズ

材料はシンプルです。

ただ、卵が全卵だったり、
牛乳のかわりに豆乳だったり、
砂糖もてんさい糖だったりと、
組み合わせは無数にあります。

今回は「粉の種類」にフォーカスします。

薄力粉・コーンスターチ・米粉で比較

3種類の粉でカスタードを比較
薄力粉・コーンスターチ・米粉

薄力粉

この中で唯一グルテンがあります。
小麦を細かく挽いた粉で、粒子が細かく
主に軟質小麦から作られます。

コーンスターチ

トウモロコシの胚乳から取り出した
デンプン成分だけを粉状にしたもの。

米粉(製菓用)

うるち米を微細に粉砕して作られた粉です。

レシピは薄力粉とコーンスターチを併用する場合が多いですが
今回は粉の特徴をハッキリ出すため、別々に比較します。

炊いているときの比較

この時点では3つは特に大きな違いは感じませんでした。
同じようにサラサラと流れる状態です。

加熱すると粉に含まれるデンプンが、
どろっと粘りのある状態になります。
でも、デンプンの種類がそれぞれ違うので、
とろみの質感や、なめらかさも変わってきます。

冷却後の3種類の仕上がりを比較

しっかり冷やしたあと、
各カスタードをボウルに移して
ハンドミキサーで軽くほぐしました。
裏ごしはしていません。

薄力粉のカスタード

プルンとした弾力が最も強い
もったりとした重みがあって、
まとわりつくようなテクスチャー。
一番黄色味が強くカスタードらしい色。
濃厚な味わい。
画像は、ややゆるく見えますが、
撮影のときに室温にしばらく出していたため、
やわらかくなった可能性があります。

コーンスターチのカスタード

なめらかでクリーミーな食感。
すっきりとした味わいで後味が軽い。
色は小麦粉より少しだけ白っぽい
小麦粉と比べて上品。

米粉のカスタード

食べた瞬間、あ、お米だって分かるお米の風味。
とろみが弱く、かなりゆるい質感。
ソースとクリムの中間みたいな感じ。
味はすっきりとして軽く感じた。

カスタードクリームを絞ったときの違い

カスタードのみを絞って
絞りやすさ、エッジの出方を比較しました。

【エッジのシャープさ】
薄力粉 > コーンスターチ > 米粉

薄力粉のカスタードの絞り

エッジがはっきりと出て非常に絞りやすい。

コーンスターチのカスタードの絞り

少し柔らかくて切れにくさがありましたが
エッジはキレイに出ました。

米粉のカスタードの絞り

ゆるくて絞りにくくラインがくっきり出ません。
絞りには不向きです。

クレームディプロマットの絞りやすさを比較

泡立てた生クリーム(乳脂肪分40%)を
カスタードクリームに対して4割加えて
クレーム・ディプロマットにしました。

生クリームの保形性のおかげで、
薄力粉もコーンスターチも絞りやすくなり、
味わいの違いもほとんど感じられなくなりました。

薄力粉のディプロマットの絞り

エッジが一番シャープに出る

コーンスターチのディプロマットの絞り

絞った輪郭は少し甘いが、美しい見た目。

米粉のディプロマットの絞り

ゆるくてラインが崩れやすい。

粉の使い分けのヒント

通常は、小麦粉とコーンスターチを混ぜて使いますが、
用途に合わせて使い分けることもできます。

例えば、薄力粉はミルフィーユやタルトなど、
しっかりした生地と組み合わせるカスタードを作るときに。

コーンスターチは、ロールケーキやシュークリームなど、
軽さを出したいお菓子に合わせて使うことができます。

米粉は、米粉のお菓子との相性が良く、
グルテンフリーにしたいときにも使える素材のひとつです。

基本のカスタードクリーム|作り方の手順

ここまで粉の違いによる比較を見てきましたが、
最後に、カスタードクリームの作り方も
簡単にご紹介しておきます。

① 卵黄にグラニュー糖を加え、白っぽくなるまですり混ぜる


② バニラペースト(又はバニラビーンズ)を加えて混ぜる


③ 粉類を加え、粉気がなくなるまでしっかり混ぜる


④ 牛乳を温め、少しずつ加えてのばす


⑤ 網でこして鍋に戻す


⑥ 中火で炊きながら絶えず混ぜて炊く。


⑦ 火を止めてバターを加え、余熱で混ぜる


⑧ 密着ラップをして冷蔵庫でしっかり冷やす

細かいポイントやコツはたくさんありますが、
こちらでは省略します。
講座のレッスンでは、コツなども詳しくお伝えしています。

まとめ

粉によるカスタードの違い

粉の種類 食感・質感 味の印象 色の特徴
薄力粉 プルンとした弾力が強く、
もったりと重いまとわりつく質感。
卵や乳製品の
濃厚な風味。
黄色味が強い
コーンスターチ なめらかでクリーミー。
後味は軽めでやわらかい口当たり。
すっきりとして
上品な味わい。
やや白っぽい
米粉(製菓用) とろみが弱く、かなりゆるい。
ソースとクリームの中間の質感。
お米とわかる風味で、
すっきりと軽い。
やや白っぽい

粉の違いによる絞りの比較

粉の種類 カスタード単体での絞り ディプロマットでの絞り
薄力粉 エッジがはっきりと出て
非常に絞りやすい。
エッジがシャープに出る。
コーンスターチ 少し柔らかく、切れにくさがあるがエッジはキレイに出た。 エッジがまあまあシャープに出る。
米粉 ゆるくて絞りにくく、ラインがくっきり出ない。絞りには不向き。 エッジがシャープに出にくい。

使い分けのヒント

粉の種類 特徴・使い方のポイント 適したお菓子
薄力粉 風味の強い素材と合わせるとき ミルフィーユ、タルトなど
コーンスターチ 軽めで、ふわふわ系のお菓子 ロールケーキ、シュークリームなど
米粉 米粉のお菓子 グルテンフリーにも対応 米粉の焼き菓子など

カスタードクリームは、
粉の違いで仕上がり・絞りやすさ・食感が変わります。
「仕上がりイメージ」にあわせて、粉を使い分けてみましょう。

この内容を動画でご覧になりたい方はこちら

所要時間 17:09
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プロフィール
お菓子づくりのプロを育てる専門家
とくもと さとこ

お菓子教室Atelier S Liaison(2006年開業)主宰
のべ3800人以上を指導
地元素材を使った「和モダンフランス菓子」
お菓子のプロを目指す方に
製菓理論とお菓子の基礎を学べる講座を提供
動画教材制作クリエイター

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