春のイースターに、フランスのアルザス地方でたべられるお菓子
「アニョーパスカル」をご存じですか?
日本ではあまり知られてない、知る人ぞ知るフランス地方菓子の1つです。
フランス菓子なんて知らなくても、ハートをわしづかみにされる愛らしさ。
フランス菓子に関わる者としては
外せない!広めていきたいと思う魅力あるお菓子です。
まだ知らない方に、アニョーパスカル専用型のことや、
どんなお菓子なのか、味わい方などをご紹介します。
アニョーパスカルってなに?
キリストの復活を祝うイースター(Pâques)の時期に食べられる
子羊の形をした、フランスアルザス地方の伝統菓子です。
アニョー(Agneau)=子羊 パスカル(Pascal)=復活祭の意味。
愛らしい羊の形がインパクトがありますね。
ちなみにラパンパスカルといって、うさぎの形もあります。
フランスではパックのお菓子として親しまれています。
イースターとは
イースターはいつ?
春分の日の後の、最初の満月の、次の日曜日です。
ですから、復活祭は毎年日付が変わる移動祝日となっています。
2024年は3月31日でした。
だいたい3月下旬~4月下旬ごろです。
日本ではあまり馴染みがないので、ピンとこないかもしれませんが
フランスではクリスマスと同じくらい重要なイベントと言われています。
イースターの象徴
フランスではこの時期、卵、うさぎをかたどったお菓子がならびます。
どちらも『生命の誕生』をイメージするものですね。
なぜ羊かというと、キリスト教にとって羊は重要なシンボルとされているそう。
イースターの時にいけにえの羊を食べると習慣に由来する説。
キリストは人々の罪をつぐなう神の子羊と言われており、
キリストの復活を祝うといういう説があるそうです。
ちなみに、ラパンパスカルといってうさぎの形の専用型もあります!
羊とうさぎ、どちらにしようか迷うほど可愛いです。
アニョーパスカルを作ってみよう
初めて型をみたとき、何だこの形は??となりますが
できあがった羊さんをみると
きゃーー何?この可愛いのは!!となります 笑
アニョーパスカル型の使用方法
この型は、スフレンハイム村で1つ1つ手作りされた
陶器の羊型です。
留め金を外すと、型が2つに割れます。
ひっくり返すと羊になる仕組み。
なんでも、叩いて中心部から半分に割るそうで。
割れ目が鋭利なものは、扱いに注意が必要です。
ポロポロ欠けてくる感じもあるので
味わいととして捉えられる人にはおすすめの型です。
使い込まれた型をみせてもらったことがあるのですが
表面が黒くなっていきます。
使い込むほどに育っていく型は愛着がわきますよ!
アニョーパスカルの生地
一般的には「ビスキュイ生地」と呼ばれる軽いスポンジ生地で作ります。
地方菓子らしい素朴さで、あっさりした生地です。
アルザス地方はクグロフ型でも知られていますので
ブリオッシュ生地でアニョーパスカルが作られることもあるそう。
私の場合は、そのまま食べておいしいのがいいな
ということで、ローマジパンをベースにして
バニラを加えた、リッチな生地で焼くことが多いです。
仕上げ
焼きあがったら、デコレーション用の粉糖をふって
リボンをかけるのが定番のスタイルです。
リボンは首に巻いたり、胴体にかけたりします。
アニョーパスカルの食べ方
本来はアッサリ軽いビスキュイ生地なので、
そのまま食べるとパサついた食感で
口の中の水分をもっていかれる感じです。
そこで、ホイップクリームやジャム、フルーツなどを添えます。
バランスがよく、さらにおいしく食べられるんです。
小粒苺とジンのジャムを添えて
3月下旬になると出回り始める、小粒の苺は
ジャムづくりにおすすめです。
今回は小粒苺を使って、形を残すタイプのジャムを作りました。
ポイントは…
苺は砂糖をまぶして一晩おいて水分を出すこと。
煮るときは、シロップだけ先に煮つめ
時間差をつくることで形を残します。
仕上げに、京都で出会ったKINOBIさんのクラフトジンを加えて
和のボタニカルな風味をプラスして大人のテイストに。
ホイップクリームは微糖にして。
ジャムとともに添えると、ペロッと食べられます。
アルザスの白ワインなんてあると最高でしょうね。
アルザス地方を旅して
20代の頃はフランス地方菓子にハマって
毎年フランスの地方へ、地方菓子巡りの旅をしていました。
アルザス地方へは、パリから電車でストラスブールへ向かいます。
石畳が美しい街並み!
ストラスブールからコルマールという小さな町へ行って泊ましました。
陶器の村スフレハイムからやってきた
クグロフ型などをたくさん見かけます。
当時は今ほど型が日本に入ってきてなかったので
クグロフ型など現地へ探しに行きました。
今ではインターネットで、アニョーパスカルの型を
買うこともできます。
アニョーパスカルはどこで買える?
先日YouTubeライブでこのテーマを取り上げたとき
「フランス展で見かけた」というコメントがありました。
また、フランス菓子店や地方菓子に力を入れている店なら
イースターの時期に出会えることがあります。
まとめ
アルザス地方のイースターを言わるフランス菓子
アニョーパスカルをご紹介しました。
知る人ぞ知るといったお菓子ですが
フランスの地方菓子好きなら、ハートをわしづかみにされる
たまならい!お菓子だと思います。
フランスの文化や伝統を感じながら楽しんでみてはいかがでしょう?
講座では、このようにお菓子の伝統的な背景もお伝えしています。
なぜなら、伝統を踏まえた上でアレンジすることが
大事になってくると考えているからです。
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