失敗しない!クレームパティシエールが粉っぽい・ダマになる原因と解決法

製菓理論

クレームパティシエールを作ったら
粉っぽくてダマがある、という経験はありませんか?

クレームパティシエールを、本当においしく作るコツ
粉っぽくなる、ダマダマになると原因と対処法

というテーマで解説します。

Q
パフェのレッスンをしていますが、
カスタードクリームが納得いかなくて。
最後に粉感があるんです。
A
「粉っぽさ」の正体と、なめらかなカスタードにするための
ポイントを詳しくみていきましょう!

カスタードクリームの悩み相談

パフェのレッスンをされている、
自宅教室の先生からのご相談です。

相談内容
パフェは完成したものの、
カスタードクリームが最後まで納得いかなくて。
お口に入れた後すぐは美味しいけれど、
最後にちょっと粉感があります。
モニターさんも同意見でした。

クレームパティシエールとは?

フランス語:Crème pâtissière(クレーム・パティシエール)
英語:Custard cream(カスタードクリーム)

フランス語で「お菓子屋さんのクリーム」
という意味であるように、基本のクリームになります。

クレームパティシエールでつくる様々なお菓子

さとこ先生
さとこ先生

クレームパティシエール覚えたら、
憧れのフランス菓子も作れるようになりますよ!

エクレア(Éclair)
フルーツタルト(Tarte aux fruits)
フランヴァニュー(Flan vanille)
フレジェ(Fraisier)
ミルフィーユ(Mille-feuille)
シブースト(Chiboust)
サントノーレ(Saint-Honoré)
ガトーバスク(Gâteau basque)
ほかにも、クレープにカスタードを巻いたり、

ロールケーキに巻いたりできます。

クレームパティシエールの材料は?

材料はとてもシンプル。

卵黄・砂糖・牛乳・粉類・バニラ(入れない場合もある)

この5つがそろえば、
基本のクレームパティシエールが作れます。

クレームパティシエールが粉っぽくなる原因

さとこ先生
さとこ先生

粉類にしっかり火が入ってない
と粉っぽくなるの。

生徒さん
生徒さん

加熱不足だったのですね!

では、何℃になると粉類(薄力粉やコーンスターチ)
に火が入るのでしょう?

粉類に火が入るのは80℃以上です。

この温度まで加熱すれば粉っぽさはなくなります!

粉に含まれるでんぷんが
粘りを出すことを、専門用語で
糊化(アルファー化)と呼びます。

とろみがついたらから、できた!と思って
すぐ加熱をやめていませんか?

それだと糊化しきれてないから、粉感が残るんです。

しっかり加熱して糊化させることで、
カスタードクリーム特有の
とろりとした、なめらかさが生まれます。

カスタードクリームはどこまで加熱する?

生徒さん
生徒さん

糊化とか言われてても、判断がむつかしいです。
温度計ではるんですか?

温度計ではからなくて大丈夫!
粉に火が入ったかどうかはクリームの状態で判断できますよ。

加熱すると、粘りが強くなって手に抵抗を感じたあと、
さらに加熱を続けると、
サラッとゆるくなってツヤが出てきます。

サラッとなった状態を専門用語で
コシが抜ける(ブレークダウン現象)と呼びます。

これが、粉にしっかり火が入った合図なんですよ。

では、クレームパティシエールの作り方を
詳しくみていきましょう。

クレームパティシエールがダマができる

生徒さん
生徒さん

いつもダマができてしまうから
むつかしいなって思います

ダマの原因はいくつか考えられます。

ダマができる原因

粉類をふるわなかった

薄力粉やコーンスターチをふるわず加えていませんか?
固まりが残る場合があるので、
粉ふるいで、ふるって加えた方がよいです。

とはいえ、よっぽど湿気た粉でない限り
ダマの原因にはなりません。
強力粉ならふるわなくても問題ないくらいです。

混ぜムラがある

加熱中、まんべんなく鍋底を混ぜていましたか?
鍋の手前側や角など、
混ぜられてない部分があるとムラになります。

泡立て器でシャカシャカと、手をとめずに
早いスピードで混ぜます。

砂糖を減らした

甘さ控えめにしたくて、砂糖を減らしてませんか?
減らし過ぎると、卵黄との「結合」が弱くなります。
そのため、卵黄に先に火が入りやすくなり
ダマができる原因になります。

ダマができる原因は温度の違い

ダマができる原因の一つに、加熱中の温度差があります。

  • 卵黄に火が入る温度:60℃
  • 粉類が糊化してのり状になる温度:80℃以上
    ※粉の種類で差があります

牛乳・卵黄・砂糖・粉類を混ぜて加熱すると、
卵黄は60℃前後で固まり始めます。

一方で、粉はまだ糊化しておらず、
とろみがつかないため、
先に固まった卵黄がダマの原因になります。

ダマができるときの対処法

かたまる温度の違いを理解して、
加熱をコントロールすることが大切です。
ここからは、具体的な対処法をご紹介します。

初心者向けの対処法

ダマになりやすいのは、
鍋底からモロモロと、かたまり始めたときです。

この瞬間に一度火を止め、
泡立て器で力強く混ぜてなめらかにします。
ここでダマをなくしておくことがポイントです。

その後、再び火にかけて炊き上げます。

経験者向けの対処法

牛乳の温度を90℃以上にして、
強めの火で一気に炊き上げます。
こうすることで、
瞬時にとろみがつき、素材同士を結合し
ダマを作る隙を与えません。

さらに、熱伝導の良い銅鍋を使えば、
火が早く均一にまわります。

なにはともあれ、素早く炊き上げた方が
なめらかで軽さのあるクリームに。
感動する味わいになります!

本当においしい!基本のクレームパティシエールの作り方

さとこ先生
さとこ先生

少し長くなるけど、本には載ってない
細かい部分までお伝えしますね!

① 卵黄にグラニュー糖を加えてすぐにすり混ぜる

白っぽくなるまですり混ぜる必要はありません。
明るめの黄色になり、少しふわっとすればOK!

② バニラペーストを加えて混ぜる

バニラ棒の場合は、縦にさいて種を取り出し、
さやと一緒に牛乳に入れる。
加熱後に火を止めて蒸らし、香りを移す。

③ 粉類を加え、粉気がなくなるまで混ぜる

泡立て器でボウル底に円を描くようにゆっくり混ぜる。
小麦粉の場合は、必要以上に混ぜると
グルテンが出て粘りのある口溶けの悪いクリームになるので注意!

粉類は、小麦粉や、コーンスターチ
小麦粉+コーンスターチ
フランパウダーのこともあります。

④ 沸騰直前まで温めた牛乳を混ぜながら少しずつ加える

牛乳に砂糖の一部を入れて加熱すると
幕張防止・焦げ付き防止になります。

大量仕込みの牛乳の混ぜ方
半量の温めた牛乳を生地に混ぜ、
残りは鍋に残して生地を戻し入れ加熱する。
温度が下がると糊化まで時間がかかります。
さとこ先生
さとこ先生

混ぜ続けることでグルテンが出て食感が悪くなるので、
大量仕込みではこの方法で行うのよ。

⑤ こし器でこして鍋に戻す

バニラ棒を入れた場合は、ここで取り除きます。
目の細かいこし器を選んでね!

⑥ 中火で炊きながら絶えず混ぜて炊く

鍋底から、のりのようなとろみがついてくる。
さらに炊き続けると、サラッとしツヤが出る。
さらに、ボコボコ沸き立たせながら、
30〜60秒炊くとコクが出る。

⑦ 火を止めてバターを加え、余熱で混ぜる

バターを入れると風味とコクが増し、なめらかさが出る。
レシピによっては加えない場合もある。

⑧ 除菌したバットに薄く広げて、密着ラップをして急冷する

人肌くらいの温度帯が、菌がもっとも増殖しやすい温度帯。
ここを早く通過させるために急冷します。

上下に保冷剤などをおいて、
細菌が繁殖しないように一気に冷ますことが大事!

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合わせて読みたい
粉の違いによる仕上がり比較もおすすめです。
カスタードクリーム|粉の違いでどう変わる?薄力粉・コーンスターチ・米粉を比較
こちらの記事を読む

クレームパティシール作りQ&A

Youtubeライブのコメントでの質問です。

Q. 炊くときの火加減について

Q.カスタードクリームを炊くときの火加減はずっと同じですか?

クリームの状態を見ながら調節します。
鍋の直径に対して、はみ出ない範囲で
弱くしたり、強くしたり調整します。

家庭のお菓子づくりだと中火になることが多いですが、
焦がさない程度の強めの火が目安です。

弱火でコトコト煮てしまうと。
炊き上がりまでに時間がかかって、食感が悪くなります。

Q. 粉の糊化温度について

ネットで調べたら、小麦粉の糊化温度は60℃と出てました。
これは卵の固まる温度と同じと思うのですが、
小麦粉にちゃんと火が入るのはもっと高い温度でしょうか?

ネットでは小麦粉の糊化温度を60℃
とする情報もありますが、
これは糊化の始まりの温度です。

実際に小麦粉のでんぷんを
しっかり糊化させるには、80℃以上が必要です。

まとめ

クレームパテシエールが粉っぽい

原因:粉が80℃以上まで加熱されず、糊化していない。

対策
:とろみがついてからも加熱を続け、
ツヤが出てなめらかになるまで火を通す。

クレームパティシエールにダマができる

原因:卵は60℃で固まり、粉は80℃以上でとろみがつくため、
卵だけ先に固まってダマになる。

初心者の対策
:鍋底がモロモロし始めたら火を止め、
泡立て器でなめらかにしてダマをなくしてから再加熱する。

経験者の対策
:牛乳を鍋に少し残して温かい状態を保ち、
生地を戻したら強めの火で一気に炊き上げる。

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プロフィール
お菓子づくりのプロを育てる専門家
とくもと さとこ

お菓子教室Atelier S Liaison(2006年開業)主宰
のべ3800人以上を指導
地元素材を使った「和モダンフランス菓子」
お菓子のプロを目指す方に
製菓理論とお菓子の基礎を学べる講座を提供
動画教材制作クリエイター

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