アーモンドクリームはどこまで泡立てる?分離対策・手順の違いを解説

製菓理論
アーモンドクリームについて生徒さんから質問がありました。
一見、簡単そうでいて、実は奥が深いクリーム。
泡立て具合、寝かせるかどうか、分離しない手順など
作り方の違いについて、考え方をお伝えします。

Q質問 アーモンドクリームはどこまで泡立てるのか?

生徒さん
生徒さん

とにかく泡立てろ、攪拌しろ!と
店で指導されたけど、本来はどういうもの?

以前、勤めていたお店で洋梨のタルトを作るとき、
パティシエから
「とにかく泡立てろ、白くなるまで攪拌しろ」

と言われて、
卓上ミキサーでふわふわにしていました。

そんなに攪拌する必要があるのか?
本来どういうものか、分からなくて。

よく作るわけではないけど、過去に作ったときに
分離して油っぽくなったことがあり、
それ以来、すごく神経を使っています。

アーモンドクリームとは?

  • 英語:アーモンドクリーム(almond cream)
  • フランス語:クレーム・ダマンド(crème d’amande)
    と呼ばれます。

 

アーモンドクリームの材料は、
バター・砂糖・卵・アーモンドパウダー

同割(1:1:1:1)が基本配合ですが、
卵が多めになったり、薄力粉を加えたり。

スキムミルク等の副材料を加えて
アレンジをすることもあります。

さとこ先生
さとこ先生

火を通さないと食べられないクリームです。

アーモンドクリームの使い方

代表はやっぱり「タルト」

フルーツを乗せて焼き込んだタルトに使用します。
ガレット・デ・ロワに入るクリームもそう。

クレーム・パティシエールと混ぜて
「クレーム・フランジパーヌ」にしたりと、
ベースの生地として使うこともあります。

泡立ての程度はどうする?

さとこ先生
さとこ先生

結論から言うと「好み」です。

製菓学校や、講習会など、これまで何度も
アーモンドクリームを習う機会はありました。
泡立てない派が主流で、
しっかり泡立てる派、
中間の少し泡立てる派に分かれます。
それぞれの仕上がりがどう違うのかお伝えします。

泡立てない派

しっかり、どっしりした食感になります。
焼き上がりが、浮きすぎないようにするため、
空気が入らないように、ゴムベラで混ぜます。
卓上ミキサーの場合でも同様。
砂糖を入れた後は、ホイップされやすくなるので、
ビーターで注意しながら混ぜます。
 

泡立てる派

焼き上がりの食感を
「軽く」「ふわっと」させたい場合です。

白っぽくなるまで混ぜる、というのは
空気を含ませるということ。

ただ、膨らみ過ぎると
盛り上がって見た目に影響したり、
冷ましたとき、落ちて
凹んでしまうリスクがあります。

中間派

重すぎず、軽すぎない中間の仕上がりにしたい場合です。
過去にお世話になったパティシエは、
泡立て器で、ぐるぐると数回混ぜて
空気を入れることに、こだわっていました。

私の考え方

泡立てない〜中間の加減で、調整しています。

アーモンドクリームに求めたいのは「存在感」

少し軽めのクリームも、ほっとする味わいがあって
たまに食べたくなりますが、
基本的には、しっかりめの味わいが好みです。

寝かす寝かさないについて

意見が分かれますよね。
それぞれの意図について考えます。

寝かす

浮きをおさえるため。
それと、すごく簡単に言うとおいしくなるから。

空気を入れないように混ぜても、
多少の空気は入ってしまいますよね。
そのため、生地を1日(~数時間)寝かせるんです。

おいしくなる、の説明はむつかしですが、
食べると分かります、違うので。

多少の分離なら、生地がつながって
素材同士がなじんで安定してきます。

使う前には、室温に戻して練り直して使います。

寝かさない

仕込みたては、多少空気を含んでいるので、
すぐに焼くと、程よくふわっと
軽い仕上がりになります。
すぐに作りたいときも、寝かせません。

私の考え方

目的によります。
家庭で食べるなら、わざわざ寝かせませんし、
販売する商品なら寝かせます。
実習形式のお菓子レッスンでは、
生徒さんが作ったものをすぐにタルトに絞るため
寝かせる工程は省略していました。
デモンストレーションの場合は、
差し替え用として、
寝かせた生地を仕込んでおきます。

アーモンドクリームが分離するとどうなる?

さとこ先生
さとこ先生

口当たりが粗くなったり、油っぽくなることがあります。

ただ、感じ方は個人差があります。
「分離しても気にしなくていい。
あまり変わらないから。」という方もいましたので、
自分がどう感じるか?で判断下さいね。

アーモンドクリームを作る手順の違い

分離を防ぐために、どのような手順をとるかは
人によって異なっていて、工夫されています。

一般的な手順

バター→砂糖→卵→アーモンド
製菓学校で習った方法、
専門書などで紹介されている一般的な方法です。
私も昔はこの方法で、作っていました。
でも、卵を加える最後で分離しがちなんですよね…。

私の作り方

バター→砂糖→アーモンド(半量)→卵(半量)→アーモンド(残り)→卵(残り)
分離せず、神経を使わずに作れるからです。
もちろん、これはバターや卵の温度をしっかり守った上での話です。
今は、作業効率や作りやすさを重視しているので
この方法に落ち着いています。

どうしたいかが大事

結論、これが正しい!
という唯一の正解はありません。
「どんな仕上がりをゴールにしているのか?」
「何を大事に考えているか?」
そこが一番大切です。
その判断の根拠を持つために必要なのが
「製菓理論」という土台です。
私の講座ではそれをお伝えしています。
アーモンドクリーム作りの参考になれば幸いです。
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プロフィール
お菓子づくりのプロを育てる専門家
とくもと さとこ

お菓子教室Atelier S Liaison(2006年開業)主宰
のべ3800人以上を指導
地元素材を使った「和モダンフランス菓子」
お菓子のプロを目指す方に
製菓理論とお菓子の基礎を学べる講座を提供
動画教材制作クリエイター

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