ナパージュは買うものと思っていませんか?
実は簡単に作れるんです!
買っても余らせてしまう、、というときは
必要な量だけ手作りできると嬉しいですよね!
ライブで、ペクチンを使った自家製ナパージュ(上がけゼリー)を
紹介したとろ、とても好評いただきましたので
レシピと作り方を紹介します。
加水加熱タイプのナパージュの効果、使い方
最新のナパージュ事情について、パティシエが徹底解説します。
ナパージュとは?
ケーキのデコレーションやフルーツに塗ったりする
上掛けゼリーのこと。
焼き菓子などの表面に
光沢をあたえるジェル状のものです。
色とりどりのフルーツが、ツヤっと輝いているタルト。
バターケーキに美しく飾られたドライフルーツ。
箱をあけると
わ~っと心ときめきます。
この光沢を出しているのが「ナパージュ」です。
写真撮影したり
プレゼントするときなど、
ここぞ!という時につかうと
見栄えをアップさせることができます。
ナパージュの効果
光沢を出して
ケーキをより魅力的に見せる効果があります。
美しさだけでなく
素材の乾燥を防いで、みずみずしく保ちます。
例えば苺の断面にぬると、
長くフレッシュ感を楽しめます。
このように、ケーキのおいしさを
維持するための役割もあるんです。
フルーツをこんもりのせたタルトは
もち運びのときに崩れそうになりますよね?
ナパージュの適度なセット力を利用すると
ころげ落ちにくくなります。
オンライン講座では「ナパージュ」を
材料セットでお送しする回があります。
「はじめて使った。」
「昔、和菓子屋さんで買ったケーキに使われていた気が。」
なんてお声も。
子どもの頃、アップルパイの表面に
ベタベタした甘酸っぱいゼリーっぽいものが
塗られていた記憶があって。
あれはアプリコットナパージュだったんだな~!
とお菓子づくりをするようになって知りました。
お店で観察しすると
ナパージュを使ったいろんな商品を発見できるはず。
市販のナパージュに近い仕上がりにする方法
凝固剤を、寒天やゼラチン、アガーを使うレシピがあります。
それぞれ仕上がりが少しずつ違います。
お菓子を仕事にしたい方に向けて
今回は、市販品に最も近いテクスチャーになる
「ペクチン」を使うレシピを紹介します。
ペクチンは日保ちしますので
ナパージュをつくることがあるなら
購入しておかかれると便利です。
自家製でナパージュを作るメリット
好みの甘さにできたり
風味付けが自由にできるところです。
せっかく作るので、私は少し手間をかけて
ハーブや柑橘の香りをプラスします。
ケーキの味わいにも奥行きが生まれますよ。
なにより、ゼリーとして食べても
おいしい!と思えるものにしたかった
というのもあります。
自家製ナパージュのレシピ
《材料》
水…180g
グラニュー糖…80g
LMペクチン…10g
レモン・柚子の果皮…適量
ハーブ…適量
(ミント・レモングラスなど)
レモン果汁…20g
《作り方》
①グラニュー糖、LMペクチンを混ぜ合わせる。
水を入れた鍋にふり入れて、小さな泡立て器でよく混ぜる。
②柑橘の皮(レモンと柚子)、ハーブ(レモングラス)を入れて
中火にかける。混ぜながら加熱し軽く沸いたら火をとめる。
こし器でこす。
③人肌くらいになればレモン果汁を加えてまぜる。
冷蔵庫に入れるとゼリーのように固まります。
使用するときは、電子レンジか鍋で加熱して溶かします。
注意点は次を参考にしてください。
LMペクチンとHMペクチンの違い
このレシピで作るときは、LMペクチンを選びます。
ペクチンには2種類あります。
LMペクチン(ローメトキシル)
HMペクチン(ハイメトキシル)
HMペクチンは、ハードゼリー用で
パート・ド・フリュイなどを作るときに使います。
砂糖と酸をたくさん加えないと
上手く固まりません。
このレシピは砂糖を控えめにしているので
レシピを変更する必要がでてきます。
ペクチン2種でナパージュを比較
左がHMペクチンで作ったナパージュ
右がLMペクチンで作ったナパージュ
HMペクチンだと、軽いとろみがつく程度。
サラサラしたソースみたいな仕上がりです。
購入した商品が濃いベージュ色でしたので
ナパージュが、ほうじ茶みたいな色です。
LMペクチンは透明感があり
冷蔵庫に入れるとちゃんと固まってゲル化します。
柑橘の果皮を入れる理由
香り付けと、もう1つ大事な役目があります。
LMペクチンは、カルシウムに反応して
固まる性質があります。
柑橘の皮には、微量ですがカルシウムが含まれているんです。
それにより固まり方が安定します。
皮にも役割をもたせているので
このレシピでは省かないでくださいね~
昔、有名なお菓子屋さんの
オーナーシェフから学んでいたころ
自家製ナパージュに柑橘の皮を入れていたんです。
香りづけだと思っていて
その時は、深く追求しませんでしたが。
今になって理論的な面からも
なるほど~と納得でした!
ハーブは合わせる素材によって省いてもOKです。
ナパージュの効果を比較検証
自家製ナパージュを塗って検証しました。
右・中央はカットしてすぐにナパージュを塗ったりんご。
左は、何も塗らず放置したりんごでです。
画像は6時間後です。
ナパージュを塗ったりんごは、
変色せずフレッシュ感を保っています。
何も塗らないと、表面が乾燥し色がくすみました。
このことからも
ナパージュを「すぐに」塗っておくだけで
変色を防ぎ、フレッシュ感を持続させることができます。
バナナ、桃など、褐変しやすいフルーツは
特に効果を実感できますので
ぜひ試してみてください。
ナパージュついての質問Q&A
以下は、オンライン講座の受講生さんからの
ナパージュに関する質問です。
ナパージュは温めたあとも使用可能ですか?
加水加熱タイプのナパージュのことですね。
加水加熱タイプは、
水分を加えて加熱することで溶けだし、
冷めるとかたまります。
かたまっても再度、加熱しすると使えますよ!
セット力は、水分量で調整できます。
とろみが強いと感じたら、水分を足して調整ください。
ナパージュは冷凍できますか?
はい!冷凍できます。
小分けにしてラップに包みます。
冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫へ。
下の動画でも紹介していますのでご覧ください。
1ヶ月ほど保存可能です。
保存環境によって差があるので
一般家庭の冷蔵庫だと、
できるだけ早めにお使いください。
ナパージュに膜がはるときの対処法は?
ナパージュを鍋で溶かしていると、
表面に膜がはったり、すぐに乾燥してきます。
何かよい方法はありますか?
との質問がありました。
下の1分動画で紹介していますのでご覧ください。
ナパージュは、
サラサラとした熱いうちに手早く塗って使います。
でも、作業中に温度が下がると
ザラついたり、表面に膜がはったりして
なめらかに塗れなくなってきますよね?
私のおすすめは、
鍋ではなく小さなマグカップを使うこと。
少量でつくる家庭のお菓子づくり限定
にはなりますが、
表面積が狭い方が膜がはりにくいです。
マグカップなどに、
ナパージュと水分を加えて混ぜます。
電子レンジにかけて、
ふつふつするまで加熱。
一旦取り出してよく混ぜます。
1回ではムラが残るので。
2~3回電子レンジにかけて
ムラがなくなるまで溶かしてくださいね。
業務用で、ある適度の量を仕込むときも
表面積(直径)が小さく、
深さのある鍋の方が、膜がはりにくいです。
ナパージュはどこで買える?
製菓材料店で取り扱っています。
一般のスーパーでは
今のところ見たことがありません。
私はお目当ての商品を
ネットで取り寄せることが多いです。
最近では少量サイズのナパージュが出ています。
富澤商店さんの
90gで使い切りやすい量の
加水・加熱タイプのナパージュ(上がけ用ゼリー)です。
画像は富澤商店さんからお借りしました。
この商品は、使用量の20~30%の水を加えて
70度でぬります。再加熱・塗ったあと冷凍可能です。
市販のナパージュ製品のすごい進化
ナパージュやグラサージュ製品を販売している
メーカーさん主催の講習に、昨年参加しました。
より細かいニーズに合わせて
特徴をもたせた製品が出ています。
鏡のような光沢がでる製品。
セット力が強いもの。
ケーキの全面がけに最適な製品。
簡便性を重視したもの。
例えば、
ハーモニースブリモヌートルというグレースは
フルーツピューレと混ぜるだけで
とろっとゲル化します。
加熱の必要がないので
熱を避けたいフルーツに最適。
プチガトーのムースのセンターに入れると
フレッシュ感のある、
とろっとしたゼリーが仕込めます。
冷凍耐性もあります。
下の青いパッケージです。
こんな風に、特徴をもたせた製品を
ケーキによって使い分けると
表現の幅がさらにひろがるな~と可能性を感じました。
市販品も、手作りも
どちらも知っていれば
「選択する」ことができます。
マンツーマンプロコースでは
ただお菓子を作るだけなく、
状況に合わせて選択を変えられる、
自分の要件に合わせてカスタマイズできる知識を
お伝えています。
私自身も、最新のことを講座でお伝えできるよう
アップデートさせていきます。
動画でご覧になりた方はコチラ
自家製ナパージュの作り方
ナパージュの効果の比較検証をご覧になれます。
70回目 ハピーツスイーツライブの録画です。
ナパージュに関する1分動画です。
膜がはるときの対処法