タルトの生地、パート・シュクレを敷き込むとき、
「生地の厚みは何mmがベストなんだろう?」
と迷ったことはありませんか?
厚さが1mm違うだけでも、食べたときの印象は変わります。
この記事では、受講生さんの質問から、
タルト生地の厚みについて考えます。
質問:2mmだとサクサク感が増しますか?
受講生さんからこんな質問がありました。
タルトづくりで、パート・シュクレを
2mmの厚みにしているパティシエがいました。
「その方がサクサク感が出る」と聞いたのですが、
3mmより2mmの方が本当にサクサク感が強くなりますか?
また、2mm厚さにしたら、扱いづらいのでしょうか。
そんなに薄く仕上げることは可能なんですか?
同じ生地なら、厚みを薄くしても厚くしても、
サクサク感そのものが変わるわけではありません。
ただ、食べたときの感じ方は厚みによって違ってきます。
そこで今回は、生地の厚みごとの印象と、
その使い分けについて考えてみましょう。
パート・シュクレとは?
パート・シュクレは、
タルトの土台などに使われる生地の1つです。
フランス語で…
パート(pâte)パート=生地
シュクレ(sucrée)=甘い・砂糖で甘くした
という意味。
つまり、甘みがあってサクサクした食感の生地です。
砂糖が入るため、焼き色がつきやすくなります。
タルトの大きさは?
まず確認したのが…

そのタルトは、タルトレット(小さいタルト)
ではありませんでしたか?

そうですね、確か…
小さかったです!
そのお店では、昔からずっと2mmで作っているとのことで、
「とても美味しい」と評判なのだそう。
厚みの目安と直径による違い
中に詰めるフィリングとのバランスで決まります。
タルトレットで作る場合
例えば、レモンタルトを小さい型で作る場合
生地を3mm厚さににすると生地の存在感が強くなり、
口の中に最後まで、生地が残る感じになります。
一方、2mm厚さだと、クリームと一緒に食べたとき、
繊細にサクッと生地が割れて、
クリームと一体になり、軽やかな印象になります。
直径18㎝のタルトで作る場合
3mm厚さにすると食べたときにほどよい歯ごたえがあり
たっぷりのレモンクリームともバランスが取れます。
さらに持ち運んでも崩れにくく、扱いやすい厚みです。
一方で2mmにすると、レモンクリームを支えきれず、
手に持ったときに割れるリスクも。
また、クリームの比率が多くなりすぎて、
味わいがくどく感じられることもあります。
どんな印象にしたいかで決める

食べたときにどう感じてもらいたい?
どの厚みが正解か、という話ではありません。
「あなたが食べたときに、どんな印象にしたいか?」
で決めてみてください。
タルトの直径と厚みの目安
- タルトレット → 2〜2.5mm
- 直径15cm以上のタルト → 3mm
もちろん、大きなタルトになってくると
4mmもあるかもしれません。
フィリングとのバランスを考える
タルトの厚みを決めるとき、
もう一つ大切なのがフィリングとのバランスです。
フィリングが軽いか、重たいかによって、
生地に求められる強さが変わってきます。
例えば、プリン生地のように
液状でゆるいクリームを流す場合は、
焼いている間に生地に負担がかかるため、
4mmほどの厚みにした方がバランスが良いこともあります。
2mm厚さは扱いづらい!?
3mmよりは確かに難易度があがりそうですね。
手早く、正確にのばす技術が必要になります。
2mm厚さの生地を扱うコツ
薄い生地は、すぐに温度が上がって
やわらかくなりやすいんです。
2mmは感覚的にとらえにくい厚さ。
部分的に薄いところができると、
そこから割れやすくなってしまうんです。
だから、はじめはルーラーを使ってのばすのがおすすめ。
2mmのルーラーは製菓道具・材料店で手に入りますよ。
タルトへの敷き込むときも注意が必要です。
ぐいぐい押さえると2mmよりさらに薄くなって
割れやすくなります。
厚みはかえないように、型に密着させてくださいね。
まずは3mmからチャレンジしよう
まずは、3mmで安定して
敷き込めるようになることが大切です。
それができたら、次のステップとして
2mmにチャレンジしてみて下さい。
表現の幅が広がって、
あなたが思い描くイメージに近づけますよ。
まとめ|タルト生地の厚みの考え方
- タルトレットは2〜2.5mm、大きなタルトは3mmが目安
- 厚みの正解はなく、表現したい仕上がりで決める
細やかなこわだりをどれだけ持っていますか?
生地の厚みについて考えることは、
実はお菓子を習う中で初めて知る方も多いと思います。
なぜなら、一般的なレシピ本には「3mm」とだけ
書かれていることがほとんどだからです。
けれども、こうした細やかなこだわりを
どれだけ積み重ねていくかで、
お菓子の仕上がりは大きく変わります。
レシピ本やネットの無料情報には載っていない、
こうした部分の考え方を、
マンツーマンプロコースでは理論的にお伝えしています。